船舶設計は、基本設計と詳細設計に分かられます。基本設計は、船の基本と
なる性能、構造、その他の船に要求される機能等を考慮して行う重要な
部分です。基本設計が立派でも、建造造船所に問題があると
良い船はできませんが、基本設計に問題があれば、建造造船所が立派でも
良い船にはならないのです。だからこそ、重要なのです。望みの無い事業に
投資しても、儲からないのと同じです。
船の安定度、トリムの調整、バラスト等も船をオペレーションする船員にとっては
重要。要求される規則や船級規則を満足することが一番重要です。しかし、規則を満足
したから良い船であるかは船を運航する海運会社の基準や経験のある船員の基準に
よって違ってきます。何年ぐらい運航(耐久性)できれば良いのか、オペレーターの追加の要求、
建造コスト、メンテナンスコスト、運航コスト等の優先順位も海運会社のよって違います。
大手の造船所はスタンダード船を決めて同型船で建造します。よってそれぞれの造船所の
スタンダード船が海運会社が望むものに近いのか、コストと品質のバランス、そして
船台のスケジュールや引渡しスケジュール、グループや系列の関係などで決まります。
あまり同型船を建造しない造船所は、設計の能力と経験で建造される船の性能が決まってきます。
近海船や内航船は大型の外航船と比べると、船はオーダーメイドと言われたりしますが、
オーダーメード項目が多くなるようです。
オーダーメード項目が多くなると、設計の能力が重要となります。
機器の据付、配管の取り付け、溶接の質、艤装品の取り付けなどの
建造造船所の能力も必要ですが、下請け(裾野)がしっかりしておけば大きな違いは
ないと思われます。
詳細設計は、基本設計に基づき、船の建造に関する詳細の設計です。現場が
作業できるように、図面を作成するのです。プラモデルの組み立てずのような
ものです。図面に従い、建造していくと完成します。造船所の大きさにより、
図面の詳細のレベルが違います。大きな造船所は、艤装のために詳細の図面を
作成しますが、小さな造船所になると、詳細は現場の担当者が経験により艤装を
行います。
外国では、ビジネス・コンサルタントのように基本設計を行う会社のステータスは
高いようですが、日本では下請けの一部としか見られていないのが現実です。
日本の船主は、コンサルタントを利用して設計や建造をすることは稀で、造船所に
任せるのが普通です。大きな海運会社では、元設計経験者などが工務監督として
指示をすることがあるようです。このような背景もあり、船主からの案で
新しい設計の船舶が建造されることが日本では少ないようです。設計は儲からない
ので、新設計の予算を取れる設計会社は、大手造船所の子会社である設計会社以外
にないでしょう。大手でも、少ないかもしれません。外国の船主に建造できるか等の
依頼があり、仕事を取るために仕方が無くかわった船の設計をするのが現状でしょう。
それ以外では、安く簡単に建造できる船か、設計費用があまり発生しない同型船(ほとんど
同じ図面で建造できる船)を建造するのが、最近の傾向のようです。造船も他の
業界と同じ問題を抱えています。日本の人件費が、外国の賃金よりも高すぎると言う
日本の重工業が抱える問題です。
ヨーロッパの船主の中には、今までにない新しい設計の船をヨーロッパで建造して、
その後、中国で同型船をたくさん建造するやり方を取っている船主がいます。
船の引き取り拒否や船に問題があるため、違約金の請求等の問題が起こっている
ようですが、そのためか、中国も力を付けて来ていると感じます。日本の造船がイギリスの
ように衰退することも、がんばらなければありうることです。
当社が設計した多目的バルクキャリア"M/V ALFAMAR”は、英国の造船雑誌 "The Naval Architect May 1999” に新世代の船として紹介されました。船級は,NK。
MARPOL条約 付属書II及びIBCコード改正について
MARPOL条約 付属書II及びIBCコード改正が採択され、2007年1月1日に改正法が発行されます。
内航ケミカル船
油脂類以外の物質
新造船 施行日(2007年1月1日)以後に建造される内航ケミカル船の構造設備については、新基準を適用。
既存船
(1) 排出防止設備
全ての既存船の有害液体物質排出防止設備について、施行日以後の最初の定期検査の日(定期検査
又は中間検査のいずれか早い日)から適用。
(2) 構造要件
全ての既存船の構造要件について、5年間適用を猶予。
改正ルールによるP&Aマニュアル及びオペレーションマニュアルを作成します。
ケミカル・タンカー
No | 長さ(OA) | 幅(MLD) | 深さ(MLD) | Deadwieght | 番線 | 航海エリア | 引渡し |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 79.84m | 13.0m | 6.5m | 2580T | S351 | Ocean Going | May 2006 |
船級 | タイプ(Notation) | 国籍 | IMO |
---|---|---|---|
NK | NS* (Tanker, Oils-Flash point on and below 60℃ and Chemicals Type II&III) (ESP) MNS* | パナマ | 9370575 |
作業内容:完成の計算、火災制御図、及び救命設備図
No | 長さ(OA) | 幅(MLD) | 深さ(MLD) | Deadwieght | 番線 | 航海エリア | 引渡し |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 69.95m | 11.2m | 5.6m | abt1200T | S353 | Ocean Going | AUG 2006 |
船級 | タイプ(Notation) | 国籍 | IMO |
---|---|---|---|
KR | +KRS1-Oil/ChemicalTanker (Double Hull)'esp'(FBC) Product/II2g/1.6SG(IBC)"+KRM1 | 韓国 | 9398577 |
作業内容:公試運転の立会い及び公試運転の解析・まとめ
No | 長さ(OA) | 幅(MLD) | 深さ(MLD) | Deadwieght | 番線 | 航海エリア | 引渡し |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 79.84m | 13.0m | 6.5m | 2747T | S356 | Ocean Going | May 2007 |
船級 | タイプ(Notation) | 国籍 | IMO |
---|---|---|---|
KR | +KRS1-Oil/ChemicalTanker (Double Hull)'esp'(FBC) Product/II2g/1.6SG(IBC)"+KRM1 | 韓国 | 9435301 |
作業内容:火災制御図、及び救命設備図、
完成の計算(載貨重量計算書、重量重心トリム及び復原性、損傷時復原性計算書)
ケミカル タンカーのプロジェクトは続く
(Sno.357 & 358:
KR
船級及び
Sno.362
NK
は除く)。
No | 長さ(OA) | 幅(MLD) | 深さ(MLD) | Deadwieght | 番線 | 航海エリア | 引渡し |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 95.99m | 15.0m | 8.2m | 3376T | S361 | Ocean Going | Nov 2008 |
船級 | タイプ(Notation) | 国籍 | IMO |
---|---|---|---|
KR | +KRS1-Oil/ChemicalTanker (Double Hull)'esp'(FBC) Product/II2G/1.6SG(IBC)"+KRM1 | パナマ | 9541875 |
完成の計算(載貨重量計算書、重量重心トリム及び復原性、損傷時復原性計算書)